高齢者住宅における危険箇所とバリア-4

第4章:玄関 - 出入りの際に潜む危険

4.1. 玄関における事故の実態と危険性

玄関は外出と帰宅の際に必ず通過する場所であり、高齢者にとって転倒事故のリスクが高い場所です。特に「上り框(かまち)」と呼ばれる段差が主な原因となることが多いと指摘されています 。靴の脱ぎ履きという不安定な動作中にバランスを崩したり、段差につまずいたりすることで事故が発生します。

4.2. 加齢に伴う身体機能の変化とリスクの増大

高齢者が玄関を安全に利用することを困難にする身体機能の変化として、筋力低下とバランス感覚の低下が挙げられます。片足立ちで靴を履いたり脱いだりする動作は、想像以上に身体能力を必要とします。筋力が衰えると、この動作中にふらつき、転倒するリスクが高まります。また、視力低下により段差の認識が困難になることも事故の一因です。

4.3. 心理的・生活習慣的要因

玄関での事故は、心理的要因や生活習慣も関わっています。外出を急ぐあまりの油断や、玄関に靴や荷物を出しっぱなしにする習慣がつまずきの原因となります。毎日利用している場所だからこそ、「慣れ」が注意力の散漫を招き、事故に繋がることがあります。

4.4. 具体的な危険箇所とバリア

玄関には、以下のような危険箇所が存在します。

•上り框の段差: 高すぎる段差は、足を高く上げる必要があり、膝や股関節に負担がかかります。

•玄関マットのずれ: 滑り止めがないマットは、それ自体がつまずきや滑りの原因となります。

•手すりの欠如: 体を支える手すりがないと、靴の脱ぎ履き時にバランスを崩しやすくなります。

•照明不足: 足元が暗いと、段差や障害物の視認性が低下します。

4.5. 改善策と予防策

玄関の安全性を高めるためには、以下の対策が有効です。

•段差の解消: スロープや踏み台を設置して段差を緩やかにします。

•手すりとベンチの設置: 手すりを設置するとともに、座って靴を脱ぎ履きできるベンチを置くことで、転倒リスクを大幅に軽減できます。

•整理整頓の徹底: 靴は靴箱に収納し、動線上に物を置かないようにします。

•センサーライトの活用: 人感センサー付きの照明を設置し、暗闇での移動を防ぎます。