SDG’Sを目指して -3
2021.09.04
地球の平均気温は過去100年間に約0.5℃上昇してしまいました。今の状況が続くと100年後には現在よりも約2℃さらに上昇すると予想されています。たいしたことのない数字だと思いがちなのですが、実はあのマンモスが住んでいた氷河期でさえ平均気温で言えば現在より3℃から6℃低いだけなのです。この予想される気温上昇が地球環境にどれほど大きな影響を与えるか想像できるでしょう。
気温上昇は氷河を溶かし海面が上昇します。世界中の低地では多くの土地が水没し、太平洋の小島は水没し中には国土を失う国も出てきます。日本でも砂浜の90%が失われ海面より低い土地は2.7倍にもなります。低地には人も資産も集中していますから被害は土地の喪失だけにとどまらず、経済的にも大きな損害を与えます。
気候は当然変化し、現在の気候が北に300キロメートル移動するといわれています。このことは動植物に影響し中には絶滅する種も出てくるでしょう。農林水産業は大打撃を被ることになります。また、熱射病の発生率が高まり、マラリアなどの熱帯特有の流行可能域が拡大します。
全地球の温暖化は地域間の温度差を縮めるため、大気の循環が弱くなります。雨雲はあまり移動せず乾燥地はより乾燥し、雨の多い地域はさらに雨が降り、干ばつや洪水が頻発するでしょう。当然、農業に与える影響は大きく、人類にとって食糧の確保が大問題になってきます。
これらのことが総合的に相乗的に起こってきますから、土地を失った難民の問題や水資源や食糧をめぐる争いなどすべてが地域紛争の火種になるでしょうし、経済の混乱は避けられません。人類の文明そのものが維持できなくなる可能性さえ秘めているのです。