地域工務店の家造りは本当に時代遅れなのか? 1. 「木配り」という名の動的バランス

2026.03.08
category: ブログ

  ハウスメーカーが使う集成材やプレカット材は、強度が一定であることを前提とした「工業製品」です。

計算は楽になりますが、木が本来持つ「復元力」や「粘り」は加工プロセスで削ぎ落とされています。

 

対して、熟練の大工は一本の丸太、一本の柱と対話します。

木には「元(根の方)」と「末(梢の方)」があり、日当たりの良い南側で育った面と、厳しい北側で耐えた面では、繊維の密度も反りの強さも異なります。

大工はこれを「木配り(きくばり)」によって適材適所に配置します。

 

例えば、家を支える通し柱には、その木が山に立っていた時と同じ向き(背を外側に、腹を内側に)で配置し、将来的に木が乾燥して反ろうとする力を、家全体の荷重で押さえ込むように組みます。

また、右にねじれようとする木と、左にねじれようとする木を向かい合わせ、互いの力を相殺させることで、建物全体の歪みを数十年単位で制御します。

これは、プログラムが導き出す「静的な強度」ではなく、木が生き続けようとする力を利用した「動的な剛性」です。

 

数値上の強度は同じ「5」であっても、無理やり固められた5と、力が均衡して保たれている5では、巨大な地震エネルギーを受けた際の「粘り(靭性)」が根本的に異なるのです。