地域工務店の家造りは本当に時代遅れなのか?  : 「軒(のき)」という究極の調温デバイス

2026.03.14
category: ブログ

パッシブデザインの根幹を成すのは「日射制御」です。

しかし、現代の都市部で見られる「軒のない箱型の家」は、デザイン性を優先するあまり、この最も重要な機能を放棄しています。

 

昭和の家を支えた大工たちは、軒の出(長さ)を数センチ単位で調整していました。

日本の夏は太陽が高く、冬は低い。

大工は、夏の厳しい直射日光を軒で遮り、室内の温度上昇を防ぐ一方で、冬の低い日差しは部屋の奥まで招き入れ、床や壁に熱を蓄えさせるように計算して屋根を架けました。

 

これは「冷暖房効率」という言葉では片付けられません。

夏、深い軒下で作られる「日陰の涼風」が室内へと流れ込む心地よさは、エアコンの冷風とは質が異なります。

 

直射日光を遮ることで、壁や床が熱を持たず、室内全体の放射温度を下げる。

これこそが、大工が長年の経験で培った「自然をいなす」知恵なのです。