なぜ、パッシブ住宅か?-18
2019.10.14つまり、1階2階と分けた平面図の中だけで処理しないことです。
通風=排熱と考えれば、熱は当然下から上へと進みますから、これを助長するプランにしてあげれば排熱効果が高まるということです。
ですから基本は「下から風を入れ、上で風を抜く」ということになります。
個室中心にプランニングされた間取りでは、これを可能にするのは階段室だけということになってしまいますから、基本は個室をなるべく排除したオープンな間取りになります。
家全体をひとつの大きな空間ととらえ、その空間の下から上に風を抜いて行くことがたいせつです。
2つめは、家全体を風が抜けていくことが基本ですから、部屋ごとを常時開放して置けられる工夫があることです。
具体的には建具や間仕切りをどのようなものにするかということです。
『季の家』の建具の基本は「引き戸」です。
洋間を中心に当たり前のように使われている「開き戸」(通常のドアですね)は、「閉まっていること」が常の状態で、必用な時つまり行き来をする必要がある時だけ「開けて使う」扉です。
これに対して「引き戸」は、「開いていること」が常の状態で、目線を隠したり閉める必要がある時だけ必要に応じて「閉めることも可能」な扉です。
家全体に風を分配するためには、この常に開いていることが前提の扉を使うことが重要な意味を持つのです。
また、仕方なく「開き戸」を使う場合でも、欄間を設けたり、壁の足元のみを開閉できるようにする工夫が望まれます。
これを発展させると、壁ですら固定して造るばかりでなく、天井から床までの大きな引き戸として可動壁にするという案も、検討できるようになってきます。