なぜ、パッシブ住宅か?-21

2019.10.22
category: ブログ

2-8、『季の家』における冬場の「パッシブシステム」=「二重通気工法」

『季の家』は夏モードと冬モードの切り替えができる家です。では、どのようにしてその切り替えを行うのでしょうか。

①冬モードの室内通気・・・

夏モードで開放していた窓は閉めることになります。これは生活していれば当たり前のことです。
ただ前述のように『季の家』の基本性能は高断熱、高気密住宅ですので、冬場はこの基本性能を取り戻してあげるだけでよいということです。
ただし閉め切った状況では、やはり換気量が不足することになります。
そのため夏場に開放した窓に代わって、開閉式の給気口を設けることになります。

このとき夏場に考慮した風の通り道と同様に、季節風の向きを考えて直接季節風が吹き込まない位置に取り付けたり、家全体の換気のことを考慮しなければいけません。

②冬モードの壁体内通気・・・

夏モードにおける「二重通気工法」は、室内と壁体内の二重通気だと説明しましたが、冬モードにおいては壁体内だけでの二重通気が鍵となります。
『季の家』は断熱材の内側の通気層とは別に、断熱材の外部と外装材の間にも通気層を持っています。
本来は外装材の内部の乾燥状態を保つためのもので、土台下から外気を入れ、屋根の軒裏から排出する通気層です。
つまり断熱材をはさんで、外側と内側に二重に通気層を持っているのですが、この外部の通気層を集熱部分として積極的に内部に取り込むことで、冬場の暖房効果を上げることも可能です。

さて、夏モードで開放していた壁体内通気のための床下の給気口と、屋根裏の排出口は冬モードでは閉められることになります。
ともに手動式で開閉可能な構造になっていますので、窓を閉めるのと同じ感覚で容易に閉めることができます。

家自体の気密化を取り戻すのと同じように、壁体内の気密化も取り戻してあげます。

外気からは封入された空気が、壁に中でどのようになるのでしょうか?

南に面した壁側の空気は暖められ、上昇気流が生じます。
反対に北側では冷たい空気が押し下げられ、下降気流が生じます。

このわずかな気流によって封入された空気は絶えず動いていることになります。
この動く空気によって内部の木材は呼吸し、乾燥状態を保ち腐朽菌を発生させず、結果として家が長持ちするのです。

また、北と南で空気が流動することで、壁内の温度差が均等になりますので、冬場に恐れられている北側の壁内の結露を抑える効果もあるのです。

以上のように冬モードに関しては、特に暖房の効果が顕著に上がるというものではありません。
むしろ、結露などの冬場に起こっていた温度差や湿気による弊害から、構造体を守る効果のほうが大きいのです。