シックハウスを考える

どう考えるのか

シックハウスと化学物質過敏症

 シックハウス、化学物質過敏症、アレルギー疾患、インフルエンザの集団感染など、今住宅に起因する健康被害の問題が、次々と明らかになってきました。
 その中でも近年、法規制までされ産業界にも多大な影響を与えた「シックハウス」の問題を見てみましょう。

 1980年代にアメリカで、新築のビルのオフィスで働く人々が、めまいや吐き気などをうったえる、という事例が数多く報告されるようになりました。

 当初は集団ヒステリーかと思われたのですが、オフィスから出ると症状が改善するということで、どうも新築のビルに問題がありそうだということになりました。
 調べてみると、新築の際に使われた建材に含まれる多くの化学物質が原因である事が分かりました。

 このように《ビルによってもたらされた病気》ということで、「シックビル・シンドローム」(シックビル症候群)と名づけられました。
 日本では、最初にこの事例が紹介されたとき、発生したのが新築の家やマンションであったために、ビルをハウスに変えて、「シックハウス症候群」として登場しました。(シックは病気、ハウスは家ですから直訳すれば《病気の家》ということです)

 新築の家や、増改築したばかりの家に入ったとき、目がチカチカしたり、気分が悪くなったことはないでしょうか。シックハウスの人たちは、これをもっと過敏に感じすぎてしまい、さらに重い症状になってしまうのです。

 その場所を離れれば症状が改善する人とそうでない人で、シックハウスというのか化学物質過敏症というのか区分するようですが、本質的には原因も症状も同じです。

 また、最近では新築校舎の建材に含まれる化学物質や、それ以外でもプール内の塩素や校庭の樹木の消毒剤、フェルトペンや洗剤などに反応してしまい、それがもとで学校に行けなくなってしまうという、シックスクール病という厄介な問題まで出てきました。
 現在不登校児とされている子供のうち、何割かの子供はシックスクールが原因で学校に行きたくても身体的に行けず、泣く泣く不登校になってしまったという子供達なのです。

 ひとむかし前のすき間風が行き交う建物では、こんな問題はありませんでした。

 近年、工法の進歩や国の省エネルギー推進の動きとあいまって、住宅の気密化が進んできました。しかしながら、充分な換気計画がないまま、中途半端に気密化だけが一人歩きしてきた結果、このような室内空気汚染問題が発生してきたのです。