住まいのカギは「学び、趣味、役割」

なにで造るのか

先ほどの内閣府調査でもう1つ重要になるのは、団塊世代のシニアにおける「自己啓発」意識の高まりです。

 調査の中で、「住み替え・リフォームの際に実現したいこと」を聞いたものがあります。

 ここでも団塊世代(63~67歳)とその前の世代(73歳以上)を比較しましたが、住居をテーマにした調査でありながら、同様に団塊世代の強い「自己啓発」への意識が表れました。

 団塊世代の回答で目を引いたのは、住み替え・リフォームにより『学び続けたい』『趣味を増やしたい』『地域や集団の中で役割を持ちたい』という志向が、前の世代よりかなり強いことでした。

 住み替え・リフォームのアンケートでこのような項目が出てくるということは、彼らの老後の住まいを考える上で、そういった自己啓発の強いニーズを無視することはできないと言えるのです。

 まだまだ元気なうちから早い段階で住み替え、学び・趣味・役割のある中で暮らしたい。

 そのニーズは、介護やサービスに特化した老人ホームとはまた違った、長期的でアクティブな「終の棲家」を求めていると言っても過言ではありません。

 実際、同調査でも、「介護付き有料老人ホームを利用したくない理由」を団塊世代に尋ねたところ、金銭や地域を離れることよりも「心理的に行きたくない(49.5%)」という回答が最多だったという事実があるのです。