団塊世代と家の関係性

どう考えるのか

 大学に進学した人達や集団就職で上京した人達に共通しているのが、出身地の地域社会の「家」を離れ、大都市で核家族を形成してきた点です。

 上の世代の日本人に比べ血縁や地域社会との紐帯が極めて弱く、社会的な意識も大きく様変わりした。
 団塊世代が結婚を迎える1960年代後半から70年代にかけては、恋愛結婚の割合がお見合い結婚の割合を上回り、家庭は地縁血縁を持たない小さな集団となっていきました。

 このような結婚のあり方は、友達夫婦・ニューファミリーと言われる、男女平等意識が強く、夫婦・親子の仲がよい、消費志向の強い新しい家族観を生み出しました。

 この団塊世代が「家」から切り離されたことが、戦後のわが国の持ち家政策と合致して、不動産・住宅関連業界の発展を支えたことは疑いの余地もありません。

 たとえば、日本住宅公団が行った多摩ニュータウン初の宅地分譲は1979年で、実に平均倍率155倍という人気でした。次いで83年には港北ニュータウンの分譲住宅入居が始まり、公団は郊外ニュータウンへの入居を促進するため、公団鉄道事業にまで手を広げることになりました。

 国の積極的な持ち家政策推進と団塊世代の住宅取得の高さが相まって、高度成長時代に土地神話、持ち家神話が形成されることとなり、大都市圏における持ち家率も急速に高まることになります。

 戦前のわが国の大都市部においては、持ち家指向がさほど強いとはいえず、借家住まいが当たり前のように考えられていたのが、この時期に大きく変化します。

その変化の主要な担い手が、実は団塊世代だったのです。