間違いだらけの省エネルギー評価。

どう考えるのか

「省エネルギー」という言葉がいつから登場したか知っていますか?

 今のように地球環境の問題からではなく、経済問題から「省エネルギー」が叫ばれた時代がありました。
日本では高度経済成長期の真っ只中で起こった「石油ショック」の時代です。
 我れ先にトイレットペーパーに群がる群衆のフィルムを見ても、当時の危機感が伝わってきます。

 国は当然の施策として「省エネルギー」を推進し、住宅にも「省エネルギー住宅」なるものを押し付けてきました。

「スキマ風だらけで冬が寒いから石油をたくさん使うのだ。家の断熱化と気密化を進めれば石油消費が減り、省エネルギー住宅になるのだ。」というものです。
 つまり「省エネルギー住宅」とは、冬場の石油消費を削減する為の、断熱化、気密化住宅である、という定義をしてしまったのです。

 その後、たびたび起こった石油危機のたびに省エネルギーは声高に叫ばれ、住宅は冬場の断熱性能だけで省エネルギー性能を語られるようになってしまいました。

 また断熱化と合わせて気密化という考えも、同時に推進されました。

 そして訪れた地球温暖化防止のための京都会議。
 日本は、国際的に約束した二酸化炭素排出削減の負担を住宅にも求めました。

 「もっと断熱化、気密化を進めて冬場の石油消費を減らし、合わせてその燃焼ガスの排出を削減しましょう。」ということです。

 かくして「省エネルギー基準」として始まった冬場だけの断熱基準は、「新省エネルギー基準」を経て「次世代省エネルギー基準」まで来てしまいました。

 しかしながらこの基準は、単に断熱材の使用基準であって、あくまでも冬場のヒーターや夏場のクーラーを使用することを前提としたものなのです。

 まず機械ありきで暖房、冷房した室内をいかに断熱化するかの基準でしかありません。

 はっきりと「断熱化基準」というべきものなのです。

 こうして間違いだらけの省エネルギー評価は、はじまりました。