循環型社会の家造り-26

2019.01.25
category: ブログ

 そして訪れた地球温暖化防止のための京都会議。

 日本は、国際的に約束した二酸化炭素排出削減の負担を住宅にも求めました。
「もっと断熱化、気密化を進めて冬場の石油消費を減らし、合わせてその燃焼ガスの排出を削減しましょう。」ということです。

 かくして「省エネルギー基準」として始まった冬場だけの断熱基準は、「新省エネルギー基準」を経て「次世代省エネルギー基準」まで来てしまいました。

 しかしながらこの基準は、単に断熱材の使用基準であって、あくまでも冬場のヒーターや夏場のクーラーを使用することを前提としたものなのです。
まず機械ありきで暖房、冷房した室内をいかに断熱化するかの基準でしかありません。はっきりと「断熱化基準」というべきものなのです。

 もうひとつの問題は、省エネルギーの評価が冬場だけのものになっている点です。

 温暖期の省エネルギー評価がむずかしいということはありますが、1年の4分の1だけの期間を切り取って家全体の評価としてしまうことは、あまりにも乱暴ではないでしょうか?
戦前の民家のように確かに冬場の断熱性能では劣っていても、夏場に家全体を開放できてクーラーなど使わなくても通風だけで充分に涼を取れる家は、「省エネルギー」という面ではまったく評価されないのです。

 しかしながらその冬場だけの「断熱化基準」さえ守っていれば、国からは「省エネルギー住宅」のお墨付きはもらえます。

 かくして時代の流れは「高断熱化」「高気密化」へとなってしまいました。