循環型社会の家造り-63
2019.02.28たしかに、家自体の寿命を短命にする家造りは行われてきましたが、建替えられたすべての住宅が老朽化のために建替えられたわけではありません。
むしろ10年20年という時の流れにより、家族の生活パターンや構成そのものが変わってしまったために、家の機能がその変化に追いつかずに建て替えるということも多いのです。
アメリカなどの住宅のストック市場(中古市場)が充実している国では、家の買い替えが当たり前におこなわれます。
アメリカでは「平均的に人は4回住み替える」といわれます。
最初は社会人となり、親から独立して住む家。
次に、結婚して夫婦となり二人で暮らすためのスイートホーム。
3回目は、子供が生まれ少し大きくなってから、それぞれに部屋を持たせて家族で暮らせる家。
最後は、その子供達も巣立ち自分も仕事からリタイヤしてから、再び夫婦だけで温暖な地方などに移住して暮らすリタイヤメントハウス。
このように住む家の人数や広さや機能は、10年単位の時の流れで当然に変化していきます。
ストック市場もなく土地資本主義で土着意識の強い日本においては、この変化に対応するためには30年に一度の建て替えでしか、解決の道が無かったのも事実でしょう。
実は、このような生活の変化に対応できない「可変性の無さ」が、個室中心の住宅の隠れた弊害なのです。
もともと3LDK、4LDKという個室の数での住宅造りが西洋で成り立っているのは、この「家の買い替えの文化」が前提としてあったためで、それを無視して西洋の物まねに走ってしまったツケともいえるものなのです。