循環型社会の家造り-79

2019.04.06
category: ブログ

 ですから「何が何でもすべてを・・・」と考えるのではなく、「外部はメンテナンスがかからないようにしたけれど、内装は自然素材で・・・」とか、「寝室とリビングは自然素材にしたけれど、予算を考えてキッチンと洗面所は・・・」というように、フレキシブル(可変的)な考え方が大切になります。
 重要なことはやはり「自分なりの選択」をすることでしょうし、ここでもやはり『ほどほど』というパッシブな思考を持つことではないでしょうか。

 この章では『自然素材』の持つすぐれた点を述べてきましたが、最後に化学合成材料と決定的に違う点をもうひとつ・・・。

 現在、家屋の解体廃材は産業廃棄物として分別処理されていますが、その中にすでに引き取りを拒否されるものが出てきています。
 それは、最終的な処理方法が確立されていない合成品や、薬物処理された廃材などです。

 今後、環境に関する規制はますます厳しくなっていきます。
 当然、産業廃棄物処理においても規制は厳しくなっていき、またその処理費用も莫大なものになっていくことが予想されます。

 今、新築された家が数十年後に取り壊される時、引き取り手のない産業廃棄物はどうすればよいのでしょうか。
 その悩みを、お子さんやお孫さんに負担として残してしまってよいのでしょうか。

 『自然素材』は、繰り返し使われ、繰り返しリサイクルされたその後に、最後は土に還ります。
少なくとも、家の解体時に廃棄物の処理で途方に暮れることはありません。

 この『最後に土に還る』ということが、めざす循環型社会のキーワードなのです。

 『最後に土に還る』もので造った家に住み、『最後に土に還る』ものを着て、『最後に土に還る』ものを食し、自らが最後に土に還る。というのが究極の循環型社会です。

 その意味で『自然素材』はまさに『循環型社会の家造り素材』と言えるのではないでしょうか。