なぜ、脱個室なのか?-13
2019.11.11
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もうひとつ、「間」の発想の空間で重要になるのが「扉」の形態です。
個室中心の家造りが当たり前になってしまったために、一般的な扉の認識は「開き戸」(つまりドアですね)が常識になってしまいました。
しかしこれも戦前の住宅には存在しなかった、安易な西洋化がもたらしたものです。
個室を形作るためには、常に閉まっていて必要なときだけ開く扉が必要でした。それが「開き戸」です。
そう閉めてある状態が基本形の「扉」です。
開放的な「間」の発想の空間では、常には開いている状態の「扉」が必要です。
それが「引き戸」です。
日本家屋で昔から使われてきたこの「引き戸」は、常には開いている状態で必要なときにだけ閉めて空間を独立させることができます。
「開き戸」とはまったく逆の使い勝手になるこの「引き戸」が、開放的な「間」の家造りには絶対に必要なのです。
また「引き戸」は、片引き戸、引き違い戸、引き収め戸とバリエーションが豊富で、用途によっていろいろな演出ができることも魅力です。
「引き戸」を大きくしていけばそのものを可動壁にすることさえ可能になります。
つまり壁さえも固定しているものでなく、必要に応じて動かせるものとして設計できるということです。
さらに「引き戸」の概念は、今後進んでいく「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」に通じるものであることも、ご理解いただきたいと思います。