なぜ、パッシブ住宅か?-9
2019.10.102-5、気密化と機械換気の弊害
「高気密住宅」というのも、昔のスキマだらけの家をスキマを無くして暖かくしましょう、という意味では間違ってはいないのでしょうが、どうも行き過ぎた感があります。
かつてツーバイフォー住宅が紹介されたばかりも頃に、ストーブの燃焼ガスによる事故が起こったことがあります。
また昨今では10年以上前に大量に売り出されたFF式のストーブに欠陥があり、死亡事故も起きています。
家というのは生物である人間が住まうためのものです。
密閉化だけ進めればこのような事故が起こるのは当たり前で、換気性能というものが合わせて重要な機能なのです。
気密とは空気の行き来を遮断するもの、かたや換気は空気を入れ替えるもの。
このまったく矛盾する機能を同時に満足させることなどできるのでしょうか?
建築基準法では、一昨年シックハウス対策として室内の換気基準を定めました。
自然換気を認めず、第一種から第三種までの機械換気の方法により、0.5回/時間の換気量を確保しなさい、というものです。
つまり日常行われている窓の開閉はまったく考慮せずに、機械を使った換気だけで1時間に0.5回家中の空気が入れ替わる換気設備を設けなさい、
ということです。
エスカレートする気密化は放っておいて、たとえ完全密封の家でもそうでない家でも、換気扇を24時間回しっぱなしで生活することを強要する法律です。
実際の生活において窓を開閉することなどおかまいなしに、すべての家に換気扇を24時間回し続けることを義務付けているのです。
これは既存の住宅にも適用される法律ですので、今換気扇が回っていない家の住人は、ほとんど法律違反をしていることになるのです。
罰則規定もなく、既存の家に検査に行くわけでもないので皆さんはあまりご存じないのでしょうが、知らない間にこんなにおそろしく、ばかげた法律が出来上がっているのです。