循環型社会の家造り-7
2019.01.18さて、なぜ人工林の積極伐採が二酸化炭素削減になるのかというと、現在日本では「森林の伐採は二酸化炭素の排出」と評価されているので誤解を招くのです。
実際には、木は伐採された時点では1CCの二酸化炭素も出しません。
炭素を貯蔵したまま建築材料などとして存在します。言い換えれば木材は二酸化炭素のタンクなのです。
木材として存続している以上けっして二酸化炭素を放出することはなく、唯一廃材となって燃やされたときにだけ二酸化炭素を放出します。
かたや、伐採された後の人工林には新しい木が植林されます。
この木は成長段階で大気中の二酸化炭素を吸い続けます。
この木が大きくなって伐採されるまでの期間が30年だとすれば、前に伐採された木で造った家がその間存在していれば伐採されなかった場合と比較して二酸化炭素の貯蔵量は2倍になったということです。
次々に植林される前提でその家が60年存在すれば3倍、90年存在すれば4倍の貯蔵量になります。
これを木材の「炭素貯蔵効果」といいます。これが積極伐採が二酸化炭素削減になる第一の理由です。
都市に国産材による木造住宅を建てるということは、切り出されるまで保持していた森林の炭素を都市に移動したということであり、「炭素貯蔵」という意味においては「都市を森林化した」ということになるのです。実は1ヘクタールの土地に立つ木造住宅35戸分の木材は3ヘクタールの森林に相当するのです。
ただし、これが国の目指す二酸化炭素削減の旗手となるためには、あくまでもこの木造住宅が『輸入材』ではなく『国産材』で建てられることが必要条件になります。